First written on: Sep. 27, 2000
Last update: Dec. 12, 2001

S-4/20L のハードディスクの入れ換え

内蔵HDDについて

S-4/20L には標準で1インチ厚、3.5インチ、50pin (Narrow SCSI) の SCSI HDD が内蔵されています。 PC用の Fast SCSI対応 の HDD で 大丈夫ですが、まれにファームウェアの出来が悪いドライブがあって使えない ことがあります。 ブラケットを見る限り 41mm 厚のドライブも入りますが、筐体が小さく冷却も 弱いので、発熱量の大きなドライブは入れない方がよいでしょう。

標準の HDD は 1GB しかないので Solaris がフルインストールできません。 それに、遅いし、なによりもうるさいので、さっさと入れ換えてしまいましょう。 Target ID は SPARCstation20 の流儀に従って ID=3 にすれば良いでしょう。 HDD のターミネータは ON にする必要があります。

とりあえず IBM の DORS-32160 (2GB) を入れてしばらく使っていたのですが、 2GB だとフリーソフトウェアもろくにインストールできません。 それにこのドライブはシーク音がゴリゴリとやかましく、 IBM としては「ハズレ」です。それに古いです。(探してまで使う価値なし)

DTLA-3070xx を入れてみる

最近は IDE (ATA) のドライブはデスクトップPCと廉価WS向け、SCSI のドライブは サーバ機向けというように、作りも IDE と SCSI でかなり差別化されているようです。 新品の Narrow SCSI のモデルはちょっと探さないと 見つからないし、何よりも IDE よりずっと高価です。 IBM の DNES あたりだと入手しやすいのですが(2000年現在)、 今となっては静かなドライブとは 言えないし、中古の HDD はちょっと恐いです。

最近の IDE HDD は各社とも静音化に力を入れているらしいし、なによりも 安いところが魅力的です(耐久性は犠牲に…)。 ちょっと冒険して IDE HDD を突っ込んでみることにしました。

その高速性で評価が非常に高い(らしい) IBM DTLA-3070xx シリーズの中から、 DTLA-307015 (15GB) を使ってみました。 IDE の HDD はそのままではつながらないので、 IDE-SCSI ブリッジという、 ちょっと あ・や・し・げ な物を使います。 Narrow SCSI 対応で、HDD 取り付け用の ブラケットも付いている、センチュリー製の CHB-35INT* というアダプタ を使ってみました。

CHB-35INT
IDE-SCSI ブリッジを取り付けたDTLA-307015

CHB-35INTのマニュアルに従って HDD を取り付けるだけですが、 電源コネクタがそのままではフロントパネルに当たって マウント・ブラケットがうまく納まらないので、 ケーブルをうまく逃がすようにコネクタを少し削る必要があります。

DTLA in S-4/20L
電源コネクタの加工が必要な部分 (赤丸)

さて結果ですが、きちんと使えます (^_^)
容量も正常に認識するし、負荷を掛けても落ちたりしません。 (例によって / パーティションの 1GB 制限はあるかも。)

騒音ですが、IBM の昔の DCAS や DNES と比べると結構静かです。 最近の他のHDDは使ったことがないので、 比べるとどうなのかはわかりません。 S-4/20L の電源とCPUファンの方が圧倒的にやかましく感じられるように なったのは確かです(^_^;)

速度について

Solaris の mkfile コマンドを使った簡易な方法で HDD (+ ホスト計算機) の速度を 調べてみました。 例えば 500MB のデータを書き込むには

  /bin/time mkfile 500m tmpfile
のようにします。 ズルしないように、tmpfile は毎回消してから測定しました。 表中の時間は real の値です。

WSSolaris ver.HDDI/F50MB100MB200MB500MB1GB
Blade 100 (500MHz)8Seagate Barracuda ATA ST315320AEIDE-4.48.82348
Ultra60 (360MHz)8Fujitsu MAG3182 (SCA)Ultra Wide SCSI-5.510.62761
Ultra60 (360MHz)2.6Seagate ST318404LC (SCA)Ultra Wide SCSI-5.411.13068
Ultra30 (300MHz)2.6Seagate ST39103LWUltra Wide SCSI-7.214.635.6-
SS20 (RT625,150MHz)8Logitec LHD-U30H/E (IBM DTLA-305030)IDE->Fast Narrow SCSI-10.922.256.5113.3
Ultra60 (360MHz)8IBM DDRS-39130 (SCA)Ultra Wide SCSI-12.422.760.5-
Ultra5 (360MHz)2.6Seagate ST38420AEIDE-12.223.5--
Ultra30 (300MHz)2.6SUN4.2G (Fujitsu ?, SCA)Ultra Wide SCSI-15.124.8--
S-4/20L Model 1007IBM DTLA-307015IDE->Fast Narrow SCSI-16.731.579.1162.1
S-4/20L Model 1008Maxtor 33073H3IDE->Fast Narrow SCSI-15.431.779.0163.6
SS20 (RT625,150MHz)8IBM DPSS-309170 (SCA)Fast Narrow SCSI-15.932.180.4165.5
SS20 (RT625,150MHz)8Quantum Atlas V 9GB (SCA)Fast Narrow SCSI-15.931.881.0165.6
SS20 (RT625,150MHz)8Seagate ST19171WFast Wide SCSI -> Fast Narrow SCSI-16.633.784.4172.1
SS20 (RT625,150MHz)8IBM DDRS-39130 (SCA)Fast Narrow SCSI8.517.134.486.0175.4
Ultra5 (270MHz)2.6Seagate Medalist 34342AEIDE8.7----
SS20 (RT625,150MHz)8Fujitsu M2954EHP (SCA)Fast Narrow SCSI-17.334.887.7181.5
SS20 (RT625,150MHz)8SUN2.1G (Seagate Barracuda ST32171WC, SCA)Fast Narrow SCSI-17.836.190.2185.2
JS5/1107IBM DCAS-34330Fast Narrow SCSI-18.340.198.9-
S-4/20L Model 1007IBM DORS-32160Fast Narrow SCSI-21.946.0123.3-
Ultra30 (300MHz)2.6Seagate ST118273WUltra Wide SCSI-33.668.2170.0-
S-4/20L Model 1008富士通純正1.05GB (M1606SAU)Fast Narrow SCSI19.843.8---
(上記でわかるのは主として連続書き込みの速度なので、 これだけで HDD を評価したりしないように注意しましょう。)

Ultra10 + DTLA-307020 (EIDE接続) で約76秒/1GBらしいので、その半分の速度ということですね。 もう3割ぐらい速いと予想していたので残念です。 Fast Narrow SCSI に IDE-SCSI ブリッジだとこんなものなんですかね。 あぁ DTLA がもったいない(汗)。 Ultra5 の EIDE に負けたのはちょっと悔しいですが、CPU に負荷をかけた状態では勝てるかも…。

でもまぁいいか、少しだけ速くなったし、静かになったから (^_^)

# あれ、IDE-SCSI ブリッジ内蔵の LHD-U30H/E と大差が付いてるのはなぜ???

* 2000年の冬頃に改良型 (Ultra SCSI 対応) の CHB-35INT2 という製品が出ているようです。


ハードディスクの入れ換え (その2)

DTLA-3070xxがもったいなかったので、と言うか他で使いたかったので、 Maxtor 33073H3 と交換しました。速度は表のとおりで、5,400rpmのドライブなのに 差が出ませんでした。(OSのバージョンは違いますけどね。)


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