First written on Sep 3, 2001
Last update: Sep 17, 2001

Multia/UDB に Tru64 UNIX V5.0 をインストールしてみる



はじめに

このドキュメントは、 Digital Multia/UDB (VX42) に非商用 Tru64 UNIX V5.0 をインストールしてみた時の記録です。

もちろん Tru64 UNIX では Multia/UDB はサポート対象外なので、 すべては自分の責任で行いましょう。

他のUNIXを使ったことがあれば、OSのCD-ROMさえブートできれば楽にインストールできると思います。 Compaq の膨大で初心者に不親切なドキュメントを読まずに 手っ取り早く作業を進めるには、下記のサイトが大変便利です。

ここでは簡略化されたインストール手順と、補足事項だけを示します。


必要なもの

Digital Multia / UDB (Universal Desktop Box)
Multia でも UDB でもどちらでも構いません。 Multia の名称は MS-WindowsNT モデルで使われていました。 Multia には Pentium モデルもあったようですが、ここでは もちろん Alpha モデルです。233MHzモデルでもかなり遅い ので、166MHzモデルだと…。
メモリ 128MB
Tru64 UNIX を動かすのに、96MB ではかなりつらいです。 必ず128MBにしましょう。使用するメモリは 72pin, FastPage, パリティ付きのSIMMです。スロットは4つで、2枚単位で増設します。
ハードディスク
内蔵のHDDが生きているというのは稀だと思います。また、Multia/UDB に内蔵できる2.5インチのSCSI HDDを探し出すのは困難なので、 外付けにするのが楽です。 50pin, FastSCSI の HDD ならば、大抵のものは動きそうです。 私は Logitec LHD-U30E を使っていますが、これの中身は IDE HDD に IDE-SCSIブリッジを付けたものです。 SCSI ID. は 0 にしておきます。(0 以外でも大丈夫です。)
CD-ROMドライブ
Tru64 UNIXのCD-ROMがブートできるドライブが必要です。 どれが使えるかは試してみないとわからないかもしれません。 ATAPI CD-R/RW ドライブに IDE-SCSIブリッジを付けたものでは、 うまくブートできませんでした。 私は SunCD12 (中身は東芝XM-5701TA) を使っていますが、 少し warning が出るものの、特に問題無く動いています。
SCSI ID. は 4 にしておきます。(4 以外でも大丈夫です。)
キーボード (できればUS配列)
PS/2のありふれたキーボードが使えます。 Multia/UDB のSRMコンソールは、最新の版でもJIS配列をサポートしません。 Tru64 UNIX はSRMコンソールの設定を見てOSのキーマップを設定するので、 JIS配列106キーボードを使っているとキーマップがずれます。 US配列のキーボードがお奨めです。


OSのインストール手順

  1. 電源を入れて、 画面左下に
      Multia SRM Console ...
    
    と表示されたら、すかさず [CTRL]+[C]を押さえたままにします。 ハードディスクからブートしようとする場合が あるので、これを阻止して、SRM コンソールのプロンプト
      >>>
    
    を出すためです。次回に[CTRL]+[C]を押さなくても済むように、
      >>> set auto_action HALT
    
    としておきます。
  2. とりあえずファームウェアを最新版にします。ファームウェアは このへんからダウンロードします。readme.txt に従って作業を進めます。 ファームウェアが更新されたら、電源を再投入します。 今度はSRMコンソールのプロンプトが出て止まるはずです。
  3. SRMコンソールで使用する言語を設定します。 Japanese は非サポートなので、
      >>> set language 36
    
    とします。これでキーマップが English (American) になります。
  4. Tru64 UNIX 用にパラメータを設定します。 SCSI HDD が ID.=0 に設定されている場合は、 ブートドライブは dka0 です。
      >>> set boot_osflags A
      >>> set boot_file
      >>> set bootdef_dev dka0
      >>> set os_type OSF
    
    これをやっておかないと、以前に Linux/Alpha などが入っていた場合に、 Tru64 UNIX の CD-ROM のブートに失敗することがあります。
  5. Tru64 UNIX V5.0 Operating System Volume 1 の CD-ROM からブートします。 CD-ROM ドライブが ID.=4 ならば、デバイスは dka400 です。
      >>> boot dka400
    
    しばらく待つとグラフィカルなインストーラが立ち上がってくるので、 Tru64 UNIX 非公認ユーザーサポートホームページを参考に、 インストール作業を進めます。
  6. Country Support は English(US) の他に Japan も入れておきましょう。
  7. ディスクのパーティション設定の方法を尋ねられたら Custom を選びます。 デフォルトのレイアウトでは / (root) が128MBしかないので、 後で困ることが多いのです。作業の途中で Disk Configuration のウィンドウが出るので、そこで root パーティションを256MB以上に変更します。(例えば256MBとか320MBとか)
    a,b,g の3つのパーティションができるはずですが、ここで /home のためのパーティションを作る必要はありません。 gパーティションの後ろに /home 用の空きを残しておくことにします。
  8. OS本体がディスクに転送されると、インストーラは自動的にリブートしようとします。 ところが、Multia ではこのリブートに失敗します。 SRMコンソールのプロンプトに落ちたままになるので、そこから
      >>> boot
    
    としてブートします。インストーラが自動的に立ち上がって、 様々な設定 (Configure) が実行されます。
  9. 一連の設定 (Configure) が終了すると、カーネルの再構築が行われます。これが終了すると、 自動的にSRMコンソールのプロンプトに落ちます。また
      >>> boot
    
    でブートします。
  10. 先にCountry SupportでJapanを選択していても、 Multia では日本語サポートのソフトウェアの導入に失敗します。 このため、CDEのログイン画面が英語のままになっています。 日本語サポートは後で導入することにして、英語モードのままで設定を進めます。
  11. rootでログインすると、 Tru64 UNIX: System Setup のウィンドウが開いているはずです。 まず Quick Setup でシステム設定を行うのが楽です。 ただし、非商用 Tru64 UNIX V5.0 では Quick Setup ではライセンスがうまく登録できません (たぶんバグ)。 ライセンスの登録の画面はスキップして作業を進めます。
  12. Quick Setup の作業が終ったら、今度は Custom Setup を実行します。 ここで License Manager を起動します。 最初から登録されている OSF-USR のライセンスは削除します。 非商用 Tru64 UNIX V5.0 のパッケージの入ってきたライセンスの紙を見ながら、 OSF-BASE、OSF-USR、OSF-SVR、OSF-DEV の4つのライセンスを登録します。
    (入力枠で漢字入力モードになってしまうので、ASCII モードにしたければ [SHIFT]+[Space] です。)
  13. 日本語サポートのソフトウェアを導入します。 Tru64 UNIX V5.0 Associated Products Volume 1 の CD-ROM をドライブに入れて、
      # unset LANG
      # cd /
      # mount -o ro /dev/disk/cdrom0a /mnt
      # cd /mnt
      # xhost localhost
      # ./dusetup
    
    とすると、Netscape Navigator が立ち上がります。Product List の中から
      Tru64 UNIX Worldwide Language Support V5.0
    
    を選択して、INSTALLのボタンをクリックすると、テキストベースのインストーラが起動します。
      You have installed Worldwide subsets for the following countries:
              Japan
      Would you like to change your country list? [n]
    
    と聞かれたら、そのままリターンキーを押します。 続いて導入するセットを聞かれるので、とりあえず全部を入れてしまって構いません。
  14. 日本語サポートが入ったら、
      # cd /
      # umount /mnt
    
    としてから CD-ROM をドライブから取り出します。
  15. Tru64 UNIX 非公認ユーザーサポートホームページを参考に、 OSにパッチ (Tru64 UNIX Tru64 V5.0 ECO Summary) を当てておきます。 セキュリティ対策のパッチが含まれているので、パッチは必ず当てておきましょう。
    Tru64 UNIX のパッチキットは以下で入手できます。 (search patches に進んで Tru64 UNIX を選択)

    パッチ適用例 :
      # tar xpf t64v50as0004-20010723.tar
      # cd patck_kit
      # unset LANG
      # ./dupatch
        (dupatch の指示に従う。最初はすべてのパッチを当てるとよい。)
      # cp -p /vmunix /vmunix.ORG
      # mv /sys/HOSTNAME/vmunix /
        (HOSTNAME は自分で付けたホスト名)
      # halt
        (reboot でもよい)
    
  16. 電源を入れたら自動的にOSが立ち上がるように、SRMコンソールのパラメータを変更します。
      >>> set auto_action BOOT
    

JIS配列106キーボードの設定

JIS配列キーボードを使用している場合は、CDE でもキーマップがずれて困るはずです。 SRMコンソールの方はどうにもなりませんが、 CDE の方はキーマップをJIS配列に変更できます。

/var/X11/Xserver.conf というファイルを編集して、その中の

  ! you specify command line arguments here
  args <
         -pn
  >
のような行をみつけます。 -pn の行に -xkbmap オプションを追加します。
         -pn -xkbmap digital_japanese_pcxajaa


Fast Ethernet カードを使う

Multia/UDB の標準のイーサネット・インタフェースは、10BASE-2/5/T に対応しています。 このマシンをファイルサーバにするようなことはないでしょうが、 端末として使うにしても 10Mbps では何かと遅くて不便です。 DEC の Fast Ethernet Card DE500-AA を増設して 100BASE-TX に対応させてみることにします。 ここではオンボードの 10BASE-2/5/T は使わないことにして、100BASE-TX を 普段に使うインタフェースに設定してみます。

まず DE500-AA が Tru64 UNIX で認識されているかどうかを確認します。 以下のようにして、DE500-AA が tu1 として認識されているかどうかを見ます。

  % more /var/adm/messages
もし tu1 が見当たらないようならば、カーネルを再構築する必要があります。 DE500-AA を挿した状態で Tru64 UNIX をインストールしていれば、最初から カードが認識されているはずです。 カーネルを再構築についてはここでは省略します。

/etc/rc.config を編集して、以下のような行を探します (アドレスはサイトによって違います)。

  NETDEV_0="tu0"
  IFCONFIG_0="192.168.2.1 netmask 255.255.0.0"
これらを以下のように書き換えます。
  NETDEV_0="tu1"
  IFCONFIG_0="192.168.2.1 netmask 255.255.0.0 speed 100"
IFCONFIG_0 の行には ifconfig コマンドの引き数が書けます。 ``speed 100'' で 100Mbps, half-duplex を指定しています。 リブートすれば、従来の tu0 が使われなくなり、代わりに tu1 が使われるように なります。

接続するスイッチによっては、OSブート時にイーサネットの auto negotiation に失敗するようです。 例えば Cisco Catalyst 2908XL では、ブート直後はネットワークに接続できず、 イーサネット・ケーブルを一旦引き抜いて挿しなおすとうまく つながるようになりました。


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